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【ネタバレ考察】「死刑にいたる病」ラストの意味と伏線を解説|U-NEXT見放題

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 「後味が悪い邦画10選」でご紹介した「死刑にいたる病」について、あらすじをラストまで追いながら、伏線と結末の意味を掘り下げます。

 24人を殺した死刑囚が、なぜ「最後の1件だけは冤罪だ」と主張したのか。そして、あのラストシーンが意味していたこととは。

 ※この記事は、結末までのネタバレを含みます。未見の方はご注意ください。

(予告編:オリコン洋画館公式サイト)

目次

「死刑にいたる病」作品情報

公開年2022年
上映時間128分
監督白石和彌
脚本高田亮
原作櫛木理宇
出演者阿部サダヲ、岡田健史(現在は水上恒司)、岩田剛典、中山美穂佐藤玲鈴木卓爾宮﨑優
映倫区分PG12

「死刑にいたる病」あらすじ(ネタバレなし)

 冴えない大学生・筧井雅也のもとに、24人を殺した死刑囚・榛村大和から手紙が届く。

 榛村は雅也が中学生の頃に通ったベーカリーの店主で、勉強漬けの日々における唯一の温かい記憶だった。

 罪を認めながら「最後の1件だけは冤罪だ」と調査を頼まれ、雅也は裁判資料を読み込んでいく。

 確かに最後の被害者だけが、他と何かが違っていた。

「死刑にいたる病」あらすじ(結末までのネタバレ)

死刑囚からの手紙

 川の側に立ち、花びらのようなものを川に撒いている榛村大和(はいむらやまと・阿部サダヲ)

 彼は毎朝、椅子に座り、庭にずらりと植えられた木を眺めてのんびりと紅茶を飲むことを日課にしていた。

 東京のFラン大学に通う筧井雅也(岡田健史)は、祖母の葬式のために栃木の実家に帰っていた。

 祖母が校長だった関係で、後日、学校関係者でお別れ会が催される予定だったが、父の筧井和夫(鈴木卓爾)は、雅也には来てほしくなさそうだ。

 教育者一家の一人息子でありながら有名大学の受験に失敗した雅也は、一家の恥と疎まれているのだ。

 言い訳をして慰める母・筧井衿子(中山美穂)に「大丈夫、行かないよ」と告げる雅也。

 そんな雅也の元に榛村から一通の手紙が届く。

 榛村は雅也が中学生の頃、塾に行く途中にあったベーカリーの店主で、彼と会話を交わすことが勉強漬けの辛い日々の中で、雅也にとって唯一の温かい思い出だった。

 しかし、榛村には裏の顔があり、あるルーティーンがあった。

 決まった時間に家を出て、決まった時間に店を開け、決まった年代、決まったタイプの少年少女に目をつけ、決まったやり方で家に運び、決まったやり方でいたぶり、決まったやり方で処理するサイコキラーだった。

 警察は、榛村を23人の高校生と1人の成人女性を残虐に殺した容疑で逮捕した。

 榛村から会いたいと手紙で請われ、雅也は拘置所に面会に行く。

 榛村は罪は認めていたが、最後の1件だけは冤罪なので雅也に調べてほしいと依頼した。

最後の被害者だけが違っていた

 担当弁護士の事務所のバイトという待遇で裁判資料に目を通す雅也。

 榛村は、巧みな方法で犠牲者たちとなる高校生たちに近づき、だんだんと距離を縮めて、犯行に及んでいた。

 しかし、高校生ばかりをターゲットにした榛村の犯行の中で、最後の根津かおる(佐藤玲)だけは26才と年齢が高かった。また、高校生たちの遺体からは全て爪が剥がされていたが、かおるの爪は剥がされていなかった。

 雅也は、最後の犯行現場となった山中へ赴き、土地の所有者の女性から、最近まで熱心に通っていた友達のような髪の長い”女性”がいたことを知る。

 そして、かおるの同僚から、かおるの上司がストーカーだった可能性がある、と聞く。

 雅也は、再び榛村に会いに行き、榛村の秩序型の犯行とかおるが殺害された事件は違っていると思う、と話す。

 榛村は、我が意を得たり、という感じで雅也を褒める。

母と榛村をつなぐ一枚の写真

 ある日、祖母の遺品を整理していた雅也は、偶然、榛村と母の衿子が一緒に写っている写真を見つける。そこには、榛村の養母である榛村桐江も写っていた。

 当時、榛村と一緒にボランティア活動をしていた滝内(音尾琢真)に会い、話を聞く雅也。

 雅也は滝内から、榛村が子供時代に親から虐待を受け、社会活動家である桐江の養子となったこと、雅也の母・衿子も桐江の養子であり、榛村と親しかったこと、そして衿子の妊娠が発覚して桐江の元を追い出されたことなどを知らされる。

 父から愛されない自分は、本当は榛村の子供ではないかと疑う雅也。

 榛村も否定はしなかったが、母の衿子は、雅也はお父さんの子だと言う。

目撃者・金山一輝

 かおるの殺人について、榛村が有罪になったのは、ある目撃証言があったからだ。

 榛村の弁護士の佐村(赤ペン瀧川)によると、目撃者の金山一輝(岩田剛典)は10才の頃から榛村の「友達」で、会社員となった今でも榛村に逆らえない精神的に不安定な男だった。

 榛村は、一輝を手懐けて、一輝とその弟を彫刻刀とカッターナイフで斬り合わせるような残酷な”遊び”をさせていた。

 雅也は、一輝が榛村を恨んで、嘘の証言をした可能性はないか、と佐村に聞く。

 佐村は、雅也に榛村のことを真に受けすぎている、と忠告する。

 そして、榛村が14歳の頃に起こした残忍な事件を佐村が話しても、雅也は榛村のことを信じようとする。

 アルバイトの身で勝手に弁護士事務所の名刺を作って調査をしている雅也に、これ以上は関わらないでくれ、と佐村から言い渡される雅也。

 しかし、雅也は調査を続行する。

 金山の元同僚から話を聞いた雅也は、かおると金山の接点を聞き出し、榛村に手紙を書いて報告する。

 自分を殺人鬼の息子だと思い込んだ雅也は、妙に強気になり、因縁をつけてきた会社員(岩谷健司)を半殺しにし、その直後に会った中学時代の同級生で同じ大学に通う加納灯里(宮﨑優)と強引に関係を持つ。

 その後、金山の元同僚から金山の写真が送られてくる。

 その顔を見た雅也は、裁判の時に会った男だと気がつき、かおるの殺害現場の土地所有者に、熱心に通っていた髪の長い”女性”と同一人物かどうかを確認する。

 そして、かおるの殺害現場で一輝と出くわす雅也。

 雅也に「僕が殺した」とつぶやく一輝だったが…。

「僕もあなたの獲物だったんですね」

 榛村と面会して推理を語る雅也。

 榛村は、親に愛されない子供たちの「遊び友達」となり、子供たちを精神的に支配して、将来的に苦しめて殺す「獲物候補」としていた。

 逮捕が近いと察した時、榛村は「獲物候補」の一人だったかおるを最後のターゲットに選んだ。

 そして、かおるが毎日通りかかる道路の上の陸橋に、精神的に不安定な一輝を呼び出し、彼に獲物を選ぶように誘導して、殺人の片棒を担がせて罪の意識で苦しませた。

 その上で、雅也に冤罪事件の調査を依頼したのだ。

 一輝は、榛村から何通もの手紙を受け取っていたことで洗脳されていたことを雅也に話し、雅也は榛村が事件の首謀者であることを指摘する。

 しかし榛村は金山の単独犯であることを主張する。

 そして、「君はすごいよ、たった一人で犯人を突き止めたんだから」と雅也を褒めちぎる榛村に「僕もあなたの獲物だったんですね」と返す雅也。

 二つ返事で榛村のために飛び回った自分も洗脳に染まっており、榛村を楽しませていたと知る雅也。

 そんな雅也に榛村は「父親ではない」と告げ、衿子が不倫の末に産んだ子供を始末したことも話した。

 榛村が冒頭のシーンで川に捨てていたのは、高校生たちから”採取”した爪だった。

 榛村によれば、それは「別れの儀式みたいなものだった」ということだった。

 雅也は最後に榛村に「榛村さんのお母さんは、爪は綺麗でしたか?」と尋ねると榛村は「僕が小さい頃はね」と答える。

ラストシーン

 榛村と決別して学生生活に戻る雅也。

 雅也は恋人となった灯里と二人になった時、灯里に「爪、綺麗だね」と言う。

 そんな雅也に「剥がしたくなる?」と言う灯里。

 その時、灯里のバッグから何通もの榛村からの手紙が落ち、「私わかるな、好きな人の一部を持っていたい気持ち」と言う灯里。

 灯里も榛村に洗脳されていたのだ!

「死刑にいたる病」考察

なぜ榛村は「冤罪」を訴えたのか

 榛村が雅也に調査を依頼したのは、無実を証明するためではありませんでした。

 拘置所という自由の効かない場所にいながら、外にいる人間を自分の思い通りに動かす。それ自体が榛村にとっての「遊び」だったのです。

 しかも、依頼された事件の真犯人は、榛村自身が仕向けた一輝でした。

 つまり雅也は、榛村が用意した迷路を、榛村の望む通りに走らされていただけだったということになります。

「爪」が意味するもの

 冒頭で榛村が川に撒いていた花びらのようなものが、被害者たちから剥がした爪だったことは、終盤で明かされます。

 注目したいのは、雅也が最後に投げかけた「榛村さんのお母さんは、爪は綺麗でしたか?」という質問です。

 榛村は「僕が小さい頃はね」と答えます。

 虐待を受けていた子供時代、母の綺麗だった爪だけが、榛村にとって数少ない愛情の記憶だったのかもしれません。

 そう考えると、爪を集めるという行為は「好きな人の一部を持っていたい」という歪んだ愛情表現だったことになります。

ラストの灯里が本当に怖い理由

 灯里が言った「私わかるな、好きな人の一部を持っていたい気持ち」というセリフは、榛村が語った爪の意味とぴったり重なります。

 このラストが恐ろしいのは、榛村が捕まっても、死刑判決を受けても、彼の「遊び」は終わっていないと分かることです。

 雅也は榛村と決別したつもりでいましたが、彼が「恋人」として選んだ相手すら、すでに榛村の手の内にいました。

 愛されずに育った子供の心の隙間に入り込むという榛村の手口が、雅也の周囲でまだ生き続けている。

 事件が解決してホッとしたところに、この一撃。白石監督の底意地の悪さに脱帽しました。

「死刑にいたる病」の配信情報

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この記事を書いた人

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